税務と居住権 (PDF, 652KB) に、この概要のポスターがありますので、そちらを参照してください。
税務状況を理解するためには、税務上居住権があるかどうかを知る必要があります。 税務上の居住権は、他の目的における居住権と異なる場合があります。 あなたがオーストラリア国民でなくても、また移民目的の永住者でなくても、税務上は居住権がある場合があります。
居住権と税金
個人は、以下の三つのカテゴリーのいずれかに分類されます。
税務上オーストラリア住民である
以下の居住権テストのいずれかを満たす場合、税務上オーストラリアの住民となります。
これは、すでに海外で税金を支払っている場合でも、世界中から得た所得をすべて申告しなければならないことを意味します。
同一所得に対するオーストラリアの税金を減額するために、国外の所得税の相殺が一般的に利用できます。
海外居住者
以下の居住権テストを一つも満たさない場合は、海外居住者となります。
海外居住者には基礎控除がなく、Medicareの課税額は支払いません。
あなたは、オーストラリアの納税申告書において、課税対象となるオーストラリア資産のキャピタルゲインを含め、オーストラリアで得られたあらゆる所得を引き続き申告しなければなりません。
Higher Education Loan Program (HELP) または Australian Apprenticeship Support Loan (AASL) の負債を負っている場合は、全世界における所得を申告するか、納税申告義務なしを通知する必要があります。
一時滞在者
一時滞在ビザを所持し、あなたまたはあなたの配偶者がSocial Security Act 1991の定義でオーストラリア居住者(すなわちオーストラリア国民もしくは永住者)ではない場合、あなたは「一時滞在者」となります。
一時滞在者として、あなたはオーストラリアで得た収入と、オーストラリアの一時滞在者である間に海外で行われた雇用や役務提供から得られたすべての収入だけを申告する必要があります。
その他の海外所得(キャピタルゲインを含む)は申告する必要はありません。 ワーキングホリデービザ保持者と双方居住者には別の規則があります。
双方居住者とワーキングホリデービザ保持者
双方居住者
あなたが国内所得税法上はオーストラリアの住民であり、他国の税法上は他国の住民である場合は、双方居住者とみなされます。 オーストラリアが外国と二国間租税条約を締結している場合、通常、どの国がオーストラリアおよび外国源泉所得に課税する権利を有するかを、租税条約の居住地判定によって決定します。
ワーキングホリデービザ保持者
ワーキングホリデービザ(サブクラス417もしくは462)でオーストラリアに来てワーキングホリデーをしている人は、ほとんどの場合、居住権ステータスにかかわらず固定税率が適用されます。
ワーキングホリデービザに関する情報はこちらをご覧ください。
居住権テスト
税務上のオーストラリア居住者であるかどうかは、以下の4つの条件で判定されます。 一つでも条件に合致していればオーストラリアの住民になります。 その判断をするために、居住権テストオンラインツールをご利用ください。
居住条件
この条件は、「居住」の一般的意味、すなわち「恒久的ないし相当期間そこで暮らしている、定まったもしくは日常的な住処がある、あるいは特定の場所に住んでいる」という意味でオーストラリアに居住していれば、住民であるとします。
この条件の判定には、物理的な所在、意図や目的、家族や事業/雇用関係、資産の維持や所在、生活調整などが考慮されることがあります。
居住地条件
この条件は、居住地がオーストラリア国内にあれば、国税長官が「居住地がオーストラリア国外にある」という判断をしない限り、オーストラリアの住民と見なすというものです。
居住地とは、法律上、あなたの恒久的な住まいとみなされている場所です。 例えば、出身地(あなたが生まれた場所)であったり、意図的に選択した場所(永続的に住むことが目的で住居を変更した場合)であったります。
永続的な居住地とは、一時的あるいは過渡的な所在ではなく、ある程度の恒久性を持って住んでいる場所でなければなりません。
183日条件
この条件は、年の半分以上をオーストラリアで過ごしていれば、「オーストラリア国外に恒久的な住所を有しており」オーストラリアに居住する意図を持たない場合を除き、オーストラリア居住者とするというものです。
すでにオーストラリアに住んでいる場合は、海外での滞在日数にかかわらず、このテストは一般的に適用されません。
実際上、この条件は新しくオーストラリアに来た人だけに関わるものです。
オーストラリア連邦年金基金条件
この条件は、一部のオーストラリア公務員でPublic Sector Superannuation Scheme (PSS) もしくは Commonwealth Superannuation Scheme (CSS) に拠出する資格を持った人に適用されます。 この条件に合致する人は、(配偶者および16歳未満の子どもを含め)他の条件に関わりなくオーストラリアの住民と見なされます。
例
エミリー - 日本在住・教師
事実関係:
- エミリーは、日本で英語教師として働くために出国しました。
- 契約は1年間で、その後中国や他のアジア諸国を旅行してからオーストラリアに帰国し、仕事を再開する予定です。
- 日本滞在中は、本当の家族として扱ってくれる日本人家庭に同居しています。
- オーストラリアに持っている家は、不在期間中賃貸しています。
- エミリーは独身です。 両親は国内の違う州に住んでいます。弟はフランスに移住しました。
質問:エミリーはオーストラリア居住者と見なせるでしょうか?
エミリーは現在日本に住んでいるとはいえ、「居住地条件」によってオーストラリア居住者と見なされます。
- (もともとオーストラリアに居住地があった人は、一時的に不在であったとしても、恒久的に移住する意図をもって海外に住んでいるのでない限り、一般的には本国における居住権を維持します。)
- 従って、エミリーはオーストラリア居住者ということになります。
ブロンウィン - 海外で長期就職
事実関係:
- オーストラリア居住者のブロンウィンは、海外で就職先を見つけました。契約は当初3年間で、希望すればさらに3年延長することができます。
- ブロンウィンは夫と3人の子どもと共に海外に行くことを決めました。
- いずれは帰国するつもりがあるので、オーストラリアの持ち家は売らないことにしました。
- 不在期間中は賃貸することになります。
- ブロンウィンは当初契約期間満了時に延長を希望するかどうかは決めておらず、家族が現地での生活を気に入るかどうかを見て判断しようと考えています。
- 契約には住居手当が含まれているので、現地ではそれを使って借家に住む予定です。
質問:なぜブロンウィンは海外居住者と見なされるのでしょうか?
オーストラリアの持ち家は手放していないとはいえ、物理的にオーストラリア国外に在住していることや、周辺環境(家族と共に海外で生活しており、オーストラリアの家は賃貸している)状況に照らして、ブロンウィンは「居住条件」を満たしていません。
また、「居住地条件」も満たされていません。その理由は、:
- オーストラリア国外に恒久的な住所を持っていること
- 海外で相当期間生活することが確定していること
- 海外で家庭を築いていること
- 家族が同伴していること
- オーストラリアの持ち家を売らないことは、関連性はありますが、それ以外の要素を打ち消すほど重要とは見なされません。
- 賃貸しているという事実が、不在期間中はオーストラリアの家を手放していることになるという解釈もできます。
これらの例は参考に過ぎません。 居住権の有無は、個人的状況に照らして決定されます。
より詳しい情報
本文書は一般的な概要です。
詳しくは、登録された税理士に相談するか、13 28 61に電話するか、あるいはオーストラリアへの入国 のウェブサイトをご覧ください。